« 合宿 | トップページ | 笑うロボット »

2005/08/02

【香港的小旅行記 第25回】

 ■トイザラス探訪:

 フェリー乗り場の建物は、お世辞にも「きれい」と言えたようなものではなかった。接岸してあるフェリーを見ても、決してきれいとは言えない。朝夕の通勤にも使われているせいか、遊覧船みたいな優雅なものじゃなくって、かなり実用的に汚らしい代物である。
 このままフェリーに乗って、早めに香港島側に渡ってもよかったのだが、フェリー乗り場のすぐ正面には「ハーバー・シティ」という大きなショッピング・プラザが見えたので、先にそっちに行くことにする。中の様子を見てみたかったというのもあったし、ペニンシュラのアーケードを出て以来ずっと屋外に出ていたので、しばらく冷房にあたっていたかった。暑いのだ。

 「ハーバー・シティ」は尖沙咀の西側の端、おそらくは以前港湾施設か何かが固まってあったところに、再開発のようにして造られた施設のようだった。いくつかのショッピングセンターのほかに、大きなホテルが3つ、スーパーマーケットが2つ、ほかにはディズニー・ストアやトイザラスなども入っている。
 なんでもこのハーバー・シティ全体を総称して「ハーバー・シティ700」と呼ぶらしく、その名のとおり、ここには全部で700もの店舗が入っている。横浜でいえばランドマーク・プラザみたいなものだが、規模だけで比較すれば、おそらくランドマーク・プラザの何倍にもなるだろう。そしてそのすべてを併せて考えれば、ここが香港最大のショッピング・センターになる。ひとつひとつの店舗は割と小さめなのだが、まあなにしろ広い。まじめにひとつひとつのお店を見ていたらそれこそ数日がかりである。よって、ここは足早に大まかな雰囲気を見るだけにする。いちいち見てたらキリがない。
 でも、ひとつだけ僕が足早に通り過ぎることのできないところがあった。トイザラスである。特に何かほしいものがあったわけではないのだが、でもこういうのを見かけると僕はつい中に入ってしまう。「トイザラスなんて日本にだっていくつもあるのだから、何も香港まで来て見なくたって」とも思うのだが、でもダメなんだなー、こういうところにいるとなんとなく落ち着くのだ。


toysrus


 トイザラスの中のレイアウトはだいたい日本と同じような感じだ。まあもともとがアメリカからやって来たものだから、こういうのはどこの国に行っても同じなのかもしれない。香港にしては敷地はゆったりとってあって、日本の店舗より若干広いような印象を受けた。これはやはり立地の問題なのだろう。
 入り口から見て店内を半周した一角に、いきなりプレイモビル(※ドイツ製のおもちゃ。日本ではまだあまり知名度がないが、ヨーロッパでは町のおもちゃ屋やスーパーでもふつうに売っている。雰囲気的にはレゴに近いかも。この時僕が見つけたのはドイツ限定の品で、日本にはほとんど入荷しなかった商品。「ドイツ限定」で日本にもほとんど入らなかったものがなぜ香港にたくさんあったのかはいまだに謎だ)のコーナーを見つけてしまった。日本ではまだあまり知名度がないけれど、僕はこれが結構好きで集めたりなんかしているのだ。日本のトイザラスではプレイモビルは扱っていないから、それについては全然期待していなかったのだが、なぜかここには置いてある。そしてさらに驚いたことには、僕がずっと欲しくてあちこち探しまわっていたドイツ限定版のモデルが、こんなところに5つも6つも積んである。なんてこった。僕は我が目を疑う。そして僕は興奮状態を通り越して半ば有頂天になり、「これだけは何が何でも買って帰る」と固く決意することになる。すばらしい、何たる天恵。


logo


 いったんプレモのコーナーを後にして少し歩くと、モデルカーを置いたコーナーがあった。それもトミカみたいな子供向けのじゃなくて、もっと精巧で気合の入った大人向けのやつである。専門店で扱っているような、ちょっとマニアックなもの。いや、弱いんだよなあ、こういうの。本当はこういうところにはあんまり近づいちゃいけないんだけどな。
 「でもここは香港なんだから値段は日本とそんなに変わらないだろう。日本で買ったって同じだよね」などと思って値札を見てみると、げげげ、安い安い安い。なんじゃこれは。日本だったら9千円近くする18分の1スケールのF1カーが240ドル(約4千円)。同じく日本だったら5千円は下らないと思われるラリー・カー(プジョー206)が60ドル(約千円)。三菱のパジェロ・ラリーが同じく60ドル。長さで20センチ、高さは10センチくらいある香港仕様のダブルデッカー・バスが40ドル(約700円)。日本のトミカをもっとマシにしたぐらいのミニカーは全部10ドル(170円)。その他、日本だったら数千円はしそうなものが、6~700円程度の値段しかついていない。はっきり言って安すぎる。
 ああああああ、やばいやばいやばい。こういうのはまずい展開だ。明らかにまずい。ヒジョーに危ない。明らかに僕は理性を失いつつある(そんなものがまだいくらかでも残っていればの話だが)。僕には目の前に山と積まれたモデルカーたちが宝の山に見えだし、そして僕は5歳の子供に帰ってしまう。そしてそのとき僕が5歳の子供とただひとつだけ違っていたところは、財布の中にはこれぐらいのものだったら買えてしまうだけの現金が入っているということだった。つまり買おうと思えば買えてしまうのである。さあどうする??
 僕は特に食事に凝る方でもなければ、服を見てまわるのが何より好きというタイプでもない。ゆえに香港に行っても欲しい物なんてたいしてないだろうと思っていた。実際、ここまではそのとおりだった。でもしかし。これはこれは、とんだところで大きな落とし穴だった。モデルカー? まさかね。それは考えていなかったな。香港とモデルカーだなんて、どう考えても繋がらないもの。
 そしてここまで特に買いたい物のなかった僕には、この時点でわりとお金が余っていた。ここまでに使ったのは家から成田までの交通費、菓子パンとおにぎりと水。香港に着いてからは、バス代と電車賃と、2泊分の宿泊費とコンビニでの買い物分だけ。必要経費を除けば(食料と水だって必要経費だけど)、ここまで2千円ぐらいしか使っていなかったのだ。金が余っていても特に不思議はない。
 ただひとつの問題は、今日は荷物になるようなものは今日あまり買って帰れないということだった。今日はこれから香港島に渡っていくつか見たいところもあるから、極力荷物は作りたくない。「これだけは買う」と決めたプレイモビルは結構大きなものだし、こんなものを抱えたままあちこち歩くなんてとてもじゃないけどできない。ここのトイザラスは夜の8時には閉まるだろうけど、それまでにここに帰って来れるだけの自信はなかった。なにしろ僕のことだから、いろいろ見だしたら止まらなくなって、結局こっちに帰ってくるのは夜遅くになってしまうに違いない。夜の8時だなんてまず無理だ。それにいまだって現にこうして予定外のところで時間を食っているのだ。8時までにここに戻ってくるなんてほとんど不可能と言っておくべきだろう。
 よって本日の結論としては、買い物をするのは明日にして、今日のところはこのままおとなしく店を出るということにする。ほかに欲しいものが出てきたとしても、それも含めて明日になってからだ。それに一晩あいだをおいてからの方が、僕だって少しは冷静に考えることができるだろう。
 そう決めてしまうと、僕は手帳に商品の名前と値段をメモしてから、後ろ髪を引かれる思いでモデルカーのコーナーを後にした。待っててね、明日必ず来るから。


3289


 香港のトイザラスで興味深かったことのひとつは、ここでも日本製のおもちゃがとても多く売られていたということである。セブンイレブンとまったく同じだ。たとえば「とっとこハム太郎」みたいに、外箱に日本語が書かれたおもちゃがごく普通に並んでいるし、こちらの家族連れもそういうのを抵抗もなく手にとって眺めては、ショッピング・カートの中に入れている。彼らには漢字は読めてもひらがなやカタカナは読めないはずなのだが、そんなことは彼らには気にならないようだった。
 その先のコーナーにはガンプラ(ガンダムのプラモデルね)がたくさん並んでいた。もちろん日本製で、表記も日本語。たくさん並んでいるというよりは、ほとんどトイザラス的に山積みになっている。日本での光景と何の変わりもない。
 ガンプラの値段は日本よりも少しばかり高い。ゆえにここでガンプラに心乱されるようなことはないのだけれど、でもこれだけガンプラが人気があるというのは僕も知らなかったし、同時に意外でもあった。こちらではガンダムをテレビで放映とかしているのだろうか? してるかもしれないな。前にイタリアで「聖闘士星矢」や「トランスフォーマー」(ありましたね)をやっているというのをテレビで見たことがあったし、スペイン語版のドラえもんなんてのもあったぐらいだから、香港でガンダムをやっていたとしても特に不思議はないのかもしれない。そういえば昨夜だって「救命病棟24時」をやっていたものね。
 さらに店内を歩くと、お決まりのテレビゲームのコーナーに出る。やっぱり香港でもテレビゲームは人気があるようだ。
 それほどゆっくりもしていられなかったのでざっとしか見なかったのだが、ハードとしてはプレステ2やX-BOXなどが置いてあるようだった。前にカナダに行った時に現地のコーディネーターの人に聞いたら、向こうではプレステ2全盛とのことだったので(「え? ドリームキャストですか? 最初は人気あったけど、いまはもうほとんど見ないですねえ」)、プレステの勢いはこっちでも同じなのかもしれない。
 入り口近くのレジ前に戻ってくると、ここにはチョコエッグやらキンダーサプライズといったおまけつきお菓子(おもちゃ付きお菓子? こういうのはいったい何て呼べばいいんだろう?)が大量に積んである。よく知らないけど、日本で売ってるその手のものはほとんど揃っているのではあるまいか。もちろん外箱の表記には日本語がたくさん並んでいる。しかし日本のものなら何でも揃っているんだな。香港でチョコエッグに出会うなんて、まったく思いもしなかった。

 トイザラスを出てからは、また辺りのお店の様子を見ながら歩いていく。幸いなことにトイザらスのほかには僕の心を捉えて離さないようなお店は見当たらなかったので、僕は足早に中を見てまわることができる。本当はスーパーの中をゆっくり見て歩きたかったのだけど、それをやりだすと間違いなく夕方までかかってしまうから、ここは泣く泣くパスして次に向かう。それ以外は大きな書店にしばらくとディズニー・ストア、それからスポーツ・ショップとドラッグストアに少し寄っただけである(ここの書店は大きいんだけど、ほとんどが英語の本なのでそんなに見るべきところはなかった。ただ、ここでも、日本のファッション誌がたくさん置いてある。もちろん日本語のやつ)。
 建物の中は冷房が効いているせいか、長いこと歩いていてもそんなに疲れない。そんなに違うもんだろうかと思っていちどテラスのようなところに出てみると、たちまち「むわあっ」という例の蒸し暑さに捕まってしまい、僕は耐えられなくなってわずか10秒あまりでまた屋内に帰ってきてしまった。こりゃやっぱり外は歩かない方がいいわ。うん、マジで。

|

« 合宿 | トップページ | 笑うロボット »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15236/5276186

この記事へのトラックバック一覧です: 【香港的小旅行記 第25回】:

« 合宿 | トップページ | 笑うロボット »