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2005/08/12

【香港的小旅行記 第26回】

 ■中環:

 ハーバー・シティをだいたい見てしまうと、今度こそフェリー乗り場へと向かう。フェリーは上層デッキ(2ドル20)と下層デッキ(1ドル70)で改札口自体が違うので、どっちがどっちだか少しだけ迷ってしまった。
 僕が乗るのは上層デッキの方。上層デッキを選んだのはもちろん金があるからではなくて、2階席の方が景色がよく見えるから。特に尖沙咀から中環に向かう船からは香港島の高層ビル群が間近に見えるので、これは見ておかない手はない。それに上層と下層では料金の差はわずか50セントである。10円も違わない。
 船上から見える高層ビル群はやはりなかなか見事だった。空がすっかり曇ってしまったせいで、「感動!」と呼べるほどのものにはならなかったが、それでも結構な迫力がある。ひとつひとつの建物自体はそんなにむちゃくちゃ高いものではないし、ここに西新宿の高層ビルをそのまま持ってきたらさすがにそれには負けてしまうのかもしれないけれど、でもこちらのビル群はとにかく数が多くて横一面に広がっているから、建物の密集度と横方向への迫力という点では圧倒的にこっちに軍配が上がる。これは夜になったら夜景が綺麗だろうなと思わずにはいられない。ガイドブックにも、ここからの夜景が穴場であると書いてあった。
 7分間のフェリーの旅を終えて中環のフェリー乗り場の外に出ると、すぐその目の前にバスターミナルがある。尖沙咀側もそうだったけれど、ここからたくさんのバスが発着し、香港島のあちこちとこのフェリー・ターミナルとを繋いでいるわけだ。

 中環(セントラル)というところはその名が示すとおり、香港における金融と商業の中心地である。高層の近代的なオフィスビルが林立するビジネス街。東京でいえば、丸の内とか銀座とか品川みたいな感じといえば近いだろうか。地下鉄も彌敦道(ネイザン・ロード)に沿って走る赤の荃灣(ツェンワン)線と、金鐘(アドミラリティ)や灣仔(ワンチャイ)、銅鑼灣(コーズウェイ・ベイ)などの香港島側の主要地を東西に結ぶ青の港島線のふたつが乗り入れている。交通の便というところから見ても、まさしくここは香港の中心地といえる(僕はしばらくの間、このセントラルのことをひとりで「なかたまき、なかたまき」と勝手に呼んで遊んでいたのだけれど、誰も笑ってくれる人がいなかったので、じきに諦めて「セントラル」と呼ぶようになった)。
 中環での最初の目標は、中環の駅のすぐそばにある「ランドマーク」と呼ばれるショッピングセンターだ。このランドマークはショッピング・スポットが立ち並ぶ中環の中心的存在で、人気、知名度、規模など、いずれも香港ナンバー・ワンを誇っているとある。僕はそれほどショッピングに関心のある方ではないけれど、でも買い物天国香港で「ナンバー・ワン」とされるショッピングセンターがいったいどの程度のものなのかというのには興味があった。

sterferry
(↑九龍半島と香港島を結ぶスター・フェリー。香港の名物です)


 中環のバスターミナルに出てみて驚いたのは、バスターミナルの一角に大勢の若い女性たちが座り込んでいたことだった。それも10人や20人という生易しい数字ではなく、少なく見積もっても100人程度はいる。150人か、あるいはもっと。ここにいるのは全員女性。男はひとりもいない。顔立ちからすると彼女たちは中国系ではなく、どちらかというと南方系というか、フィリピン人っぽい顔立ちの人が多いようだった。
 彼女たちはバスターミナルの地面に思い思いに敷物を敷き、その上に座って何か食べながら飽きることなく延々おしゃべりに興じている。敷物の上には弁当やらポテトチップの空き袋やら食べ物の包み紙やら水筒やらが散乱していて歩きにくいことおびただしいのだが、彼女たちを注意しようなんて人はまったく見受けられないし、彼女たちも「ここは自分たちの場所」という感じで、くつろいだ表情でそこを動こうとはしない。
 地べたに座っているところだけを見ると、乞食の集団のように見えなくもないのだが、でも彼女たちはボロを着ているわけではないし、一応化粧なんかもしているように見えた。だいたい彼女たちの持ち物を見れば、彼女たちが乞食の団体などではないことはすぐわかる。それに化粧をした乞食だなんて聞いたこともない。
 彼女たちがここでいったい何をしているのかは相変わらず不明だったが、辺りには英語が話せそうな人が見当たらなかったこともあって、まあいいか、などと思いつつ僕は先に進むことにする。
 
 フェリー・ターミナルからランドマークまでは、バスターミナル横にある地下道をくぐって行く。地下道を出たところにスタチュー・スクエア(皇后像廣場)という広場があり、そこからふたつほど通りを渡ると、そこにランドマークがある。フェリー乗り場からの距離はおよそ300メートルというところだ。
 スタチュー・スクエアのすぐ正面には、そのビルの形状から「油田基地」と称された香港上海銀行(HSBC)のビルが建ち、その斜め奥には、全面ガラス張りで三角プリズムのような斬新な形をした中国銀行のビルが見える(こちらの俗称は「剣」)。このふたつのライバル銀行の建物が香港返還前にその形状をめぐって大きな風水論争を巻き起こしたことは僕も知っていたので、実物を前にして「ああ、これが例の風水ビルかあ」という感慨に打たれた。でも現場で実物を見た感想を言えば、中国銀行の方は噂に違わぬ斬新にして奇抜なデザインだとは思うけど、HSBCの方は「あんまりおもしろくないな」というのが率直なところだった。
 スタチュー・スクエアに出ると、ここにも女性の集団がいる。さっきまでよりも数が多い。200人か、300人か。とにかくすごい数だ。スタチュー・スクエアだけでなく、その近隣のビルの外にまで溢れている。いったいなんなんだこれは。ここでも彼女たちはビルの陰の地べたに座ったり、広場の噴水の囲いの上に腰かけたりしながら、何かを飲み食いしつつ延々おしゃべりに興じている。
 あとでものの本を読んでみると、彼女たちはどうやら「阿媽」と呼ばれるフィリピン人のメイドたちであるらしいことがわかった。このスタチュー・スクエアでは、平日の昼間にはビジネスマンがランチをとっているとのことだが、日曜日には「阿媽」と呼ばれるフィリピン人のメイドが集まって賑やか、とある。そういえば今日は日曜日だ。日曜日の昼間にオフィス街にこれだけの大量のメイドが集まっていったい何をするのかは不明だが、これを読んだことでまあなんとなくわかったような気にはなれた。「阿媽」の「阿」というのは、「~ちゃん」とかいった愛称だから(たしか)、「阿媽」というのは「メイドちゃん」とか、「フィリピン娘ちゃん(変な日本語)」といったような意味なのかもしれない。それにしても彼女たちはいったい何をするんだろう? 謎だ。

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